FC2ブログ

がん治療における統合医療の可能性?

「完全にいっちゃいました」

乳がんになった知人のその後のことを「元気かしら」と聞いたらこの返事。
いっちゃったって、いったいどこへ?
びっくりして体がついつい話し相手のほうにつめ寄ってしまいました。

「代替医療。統合医療? ●●(有名プロレスラー)が来ている・・・・ええーっと、名前忘れたな、けっこう高い金とる」

ああ、そっちか。
えーー?? ほんとに? ほんとにそっちにいっちゃったの???

「『もういい』んだって。『わたしの命はそこに預ける』って言って。抗がん剤、受けるのやめるって。そこの代表者は、医者でも何でもないんだけど。なんかよくわかんない団体なんだけど」

うーーーーー。言葉にならない言葉で頭のなかがいっぱいです。

その方はケトン食療法(糖質制限)で四期のがんを治療しようとしていたのですが、数ヶ月で急激に悪化して関西のあるクリニックから、『病院にいけ』と放り出されてしまいました。
そして、さてどうするか、となったときに相談をうけて、知っていることを伝え、一度は押川勝太郎先生のセカンドオピニオンライブに参加されて質問もしていたのに。
病院やめるのか。いったい、何があったのかなあ。

「会っちゃったらしいですよ。統合医療のそれをやっている人に」

会っちゃった? だったらそれはもう、仕方ないかも。
統合医療の団体は、魅力的な言葉と、気持ちよく言いくるめられる理論でおしてくるところが多い。
「強い副作用の可能性があり、それでも効果が出ない可能性が高く、5年生存率は0%です」
なんて病院がふつうに使う言葉はけして使わない。


先日東京に行ったときにも、友人とごはん食べているときに、「がんになったらどんな治療をするか」話になりました。

「統合医療がいいと思うのよね」

と言い出したのは編集者A。
彼女はお仕事の人脈で、有名ドクターや有名心理学者、有名ホリスティック医学翻訳者などなど、この分野の人たちと交流を深めつつあるようで、その言葉が出てきても驚きませんでした。

「統合医療ってなに?」と聞いたのはライターのB。私の書いているブログをけっこう精読してくれているそうで、がんとお金について、とくに目が開かれたと話してくれました。

「統合医療っていうのは、病院で受ける医療以外の医療すべてと思っていればいいのかな」と私。

がんについてしっかり勉強しているAが、

「最近は病院の医療も否定はしないみたいよ」

「そうそう。否定はしない。抗がん剤をはじめ標準医療を否定しないことで、このクリニックは偏ってない、という安心感を与えることがわかっているのか、そういうとこが増えている」

「問題がある病院もあるけど、ちゃんとしている先生の病院であれば大丈夫よね」

「それがそうでもなくて、本を何冊も出していて、いい人だと思われている医者で、とんでもない悪徳クリニックがあるよ。いいところもあるけど見極めがむずかしい」

「えーそうなの」

「ホームページ見ても、本を読んでも、言葉はきれいなの。抗がん剤は副作用でがんを増やすだけです、とか書いて病院治療を否定しているところでも、そうでないところでも同じ。
問題は治らない療法を、がん患者が最後のよりどころにして駆け込むことをいいことに、とんでもない値段をふっかけること。ふっかけても払う人がいるから、たいていは違法でもなんでもないけど。

なにが悪徳ってもう一ヶ月も余命はなかろうという患者にも、数百万円からひどいのは1500万円とかふっかけるんだって。それを患者は借金して払ったりするんだって。
遺族が訴訟を起こしたりして問題になっていることはNHKも特集してた。多くは免疫治療だけど、普通にどこのがん治療クリニックでもある温熱療法でもサプリメントでも、同じようにあとがない患者におどしをかけて金をふんだくるクリニックがいっぱい。

統合医療のクリニックで問題があるかどうかの見極めはすごく難しいと思う。
温熱療法とか酸素浴とかサプリメントとか食事療法とか、並んでいるもののリストを見て、こういうのがあったら悪徳とか、こういう言葉があったらやばいとかでは見きわめられない。

わかりやすくて明快な言葉を使うし、関係者はみんなすてきな笑顔だし、割烹着のスタッフがなごみのおもてなしをするクリニックもあるし、病院の冷たさとは正反対のイメージをブランディングしている」

Bが言いました。

「だけど、日本の標準医療は世界最高レベルなんだから、そんなとこいくことないでしょ」

「そのとおり。がんになる前はこんなすてきなこと発言しているドクターとともにがん治療をしていきたいと思ったって、実際がんになったら限度額といっても収入によっては十万円とか少なくとも五万円とか毎月病院に支払わないといけない。
長引けば一年で百万近く、運よく延命できれば数年で数百万。十年で家が買える。

これを払い続けて、なおも自由診療のクリニックに温熱療法とかサプリメントとか払える人はそうそういないよ。

基本的にお金持ち以外はクリニックでがん治療なんてできないの。
私たちビンボウ人は支払えない、というリミッターがあるから、ある意味幸せよ。
借金しても、貯金を全部使い果たしてもいいと考える人もいるから、ビンボウ人もいろいろだけど。
本当にかわいそうなのは、お金があるからいくらでも治療法を探せる人たち。
いろんなものを試して探して時間がたって、何も効果を出せないまま、死ぬ時期を迎えてしまう」

A「ああ、あの人やらあの人ね」

B「あの人もそうね」

私「あの人たちだけでなく、お金があればみんなすると思う。だから、あぶないのよ。統合医療とかをかかげているクリニックは。がん患者のそういう心理をくんでいくらでもありますよ、あきらめなくていいですよ、と治療メニューを次々ひろげてくれる」

B「病院治療よりもっといい治療があるっていう幻想をいだくのは、標準治療って言葉が悪いんじゃない? 標準とつけば、私はその上でお願いしますって言いたくなる。鮨みたいに特上お願いしますって」

私「すでに特上なのにね。アメリカではリコメンド(推奨)医療とかスタンダード(標準)医療とか言うらしいけど、日本に入ってくるときにスタンダードのほうが採用されたらしい。リコメンドならちょっと受け取りが違ったかも。

最近標準医療にちょっと偏見がある人が手術を医者から薦められているんだけど、ふんぎりがつかないと私に相談してきたの。
いろいろアドバイスをしたけど、もしもあなたと同じ状態の人が江戸時代に生きていて、手術できますよ、といわれたら大喜びで手術受けるね、って言ったの。私たちは現代の日本に生まれたから医療が受けられる。これってラッキーよね、と。日本に生まれたって70年前なら布団に寝てるほかなかったわけだし」

A「『JIN(仁)』か。あれはおもしろかった」

私「いまの時代に統合医療でも代替医療でも、これを受けることによるいちばんの不幸は、いつまでもあきらめられないことだと思う。まだまだ治る、わたしには可能性がある。そう思い続けることで、運命を受け入れられないまま死ぬのは、私はきついなあ」

A「保険を入院に厚くかけるのはどう?」

私「最近は入院日数がどんどん短くなっていく傾向があるし、入院より通院に厚い保険を探したほうがいいよ。うちのだんなさんはそうした。がん事情を知ってしまうと、保険をかけずにいられないみたい。
抗がん剤はまだ完治させるまではいかないまでも、生きてる時間を長くさせるには十分なくらい薬の開発が進んでいるらしいから、今後も必然的に長期にわたって通院する人が増えていくんじゃないかな」


忘れていましたが、私も統合医療の看板を掲げるクリニックのドクターからある療法についての話を聞いたことがあります。

典型的な統合医療のクリニックでした。
東京・銀座にあるそのクリニックのドクターはその分野の本をだしていて、私はその療法の名前を人から聞いたのです。
ネットでききかじっただけのことを、考えもなく、責任もとらず、がん患者に向けて広めている人から。

そのクリニックは地方に支店のようなクリニックをもっており、そこにだったら通える可能性があるかもと思いました。
いやたぶん、通えなかったでしょうが、その頃はほんとうに痛くって、情報に飢えておりました。

「何人の人がこれまで治ったのですか」と病院からかかってきた電話で質問しました。
「数字ははっきりできませんが、そんなにたくさんいません」というへんじでした。
「福岡にクリニックができるという話があるので、ここまできて受けなくてもいいかもしれません」
銀座の大先生ではなく、地方のドクターで、正直な人でした。

結局、福岡に施設ができたかどうか、確かめていません。
だってその一ヵ月後に受け始めた病院の標準治療(抗がん剤治療)で、
副作用がほとんどないのに、治療効果があり、痛みはなくなり、QOLは比べようもなく向上したのですから。


先日、東京でいっしょにごはんを食べたカメラマンのCさんが、
「25年前に悪性リンパ腫の3期だったが、抗がん剤治療を3ヶ月受けたらがんが消えた。それ以降再発もなし」
と教えてくれました。なんでもっと早く、一緒に仕事をしているときに教えてくれなかったかなあと思いました。
「抗がん剤しているときは味覚障害がひどくて何にも味がしなかった。もうそんなことすっかり忘れてラーメンばっか食ってるけど」
私が抗がん剤で苦しい思いをしているとき、「Cさんもがんばったんだから私も」と思えたかもしれないのにな。
がんサバイバーは、もっとその経験を周囲の人に語りましょう。

「副作用で死ぬだけだ」というデタラメだけが拡散されているのは不公平というもの。
正しくは、「副作用で死ぬ人もいれば、副作用の苦しみなんかすっかり忘れて人生を楽しんでいる人もいる」ですもんね。



◆◆統合医療とはなにか◆◆については、厚生労働省がとても親切でリアルに役立つサイトをつくっています。

「情報の見極め方」というタイトルのこのページなんか特にいいですね。

「分母を確かめよう」ですよね。これでがんが治った人がたくさんいます。といわれたら、そのたくさんは何人か? そして、何人の人が試して何人が効かなかったのかを明確にしましょう、ということです。

そんなこと質問したりしたら、先日のスピリチュアルな有名先生のように「そんなこと私に質問するなんて、あなたはレベルが低い。私を信じられないんですか」と怒り出す人もいるでしょう。そういう人の薦める治療法が効くわけないですよね。



キムチとお米とお茶とおいしい野菜たちのお求めは

錦自然農園フルーツストア
スポンサーサイト