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安保徹氏が遺した「免疫」の罪

抗がん剤と麻薬系鎮痛剤と両方使っております。
おかげで痛みがほぼなくて、午後など本を読んでいるとねむくなってしまう。

わが主治医の押川先生は、

「薬を使う目的は、がんを忘れること」

といつもいいます。がんを忘れて、筋トレしなさい、せっせと動きなさい、と。
抗がん剤の副作用もなく、痛み止めのおかげでさしたる不調もない私ですが、
筋トレよりも、つい、こういう文章書くことについ時間を使ってしまう。
これじゃ病気になる前のパターンの踏襲。体使わないとだめだよーー。

2ヶ月前まで、抗がん剤と不適合だから病院に診てもらっても、やれることはないと信じてました。
そんな私が、押川先生に出会えて、薬をはじめたおかげで、今や天国です。
ご飯がおいしいし、今日もひとりで高速ぶっとばして鹿児島へいくし、
何より夫がたくさん笑うようになった!


「先生、麻薬の飲みすぎはよくないんですか」

あまり効いているものだから、心配になって質問したことがあります。

「(限度量を守れば)飲みすぎで悪くなるってことはないです」

麻薬系鎮痛剤の摂取量で寿命に差がないこと、依存性がないことは複数の研究で明らかにされています。

痛みを和らげる緩和療法は、死ぬ間際の療法だと世間に広く、強く信じられていますが、
そんなことはありません。
状態によっては早い時期から痛みが現れることもあります。
痛み止め(=緩和治療)は、そうした痛みに対しても行われます。

緩和治療を受けたいなら、病院にいけば、薬をもらうのは簡単です。
「治療しないけど、痛み止めだけください」といえばいい。

抗がん剤治療を受けている病院では緩和治療が受けられない病院があるそうですが、
別の病院で薬をもらえばいいだけ。

実際、毎日やってくる疼痛というのは、耐え難いものがあります。
じぶんの経験でいうと、
下ばかり向くからたるむし、しわが深くなり、しじゅう苦痛顔に固定されてどんどんブスになる。
歩くも大儀、動くも大儀、笑うとか、食べるとかムリムリムリ・・・・
この時期、遺書かいたし、葬儀のことをきめたし、遠方の友達が来クマすると聞いても、「その頃生きてるかどうかわかんない」とまず考えたし、それを相手に言っていいのか悩んだりして、よーするに頭のなかに前むきな考えが一切浮かびませんでした。

ところが痛みがなくなると、

「●●食べたい」「●●したい」「●●いきたい」「●●みたい」

が自動的に浮かび、考えているじぶんがいます。押川先生が

「薬の目的はがんを忘れること」

という言葉の意味が、言われてから何週間もたって思い出されたとき、「あ~これかあ」と腑に落ちました。
QOLの高い暮らしこそ、最高の薬です。

押川先生に尋ねたことがあります。

「先生はいつも、抗がん剤投与の目的は延命だっていうけど、
これまで先生の患者で、がんが治った人はいないんですか」

「いますよ。私だけじゃなく、学会なんかいくと、そういうケースがあったと報告する人は、けっこうこれまでいましたね」

「あら、じゃあ論文かいて発表すればいいじゃないですか」

「そういう時間が勤務医にはないんですよ。書いたところで給料が上がるわけじゃないですから」

「だから、抗がん剤でがんが治るって言い切る『病院』の医者がめったにいないんですね」

「本書くのは『クリニック』で代替医療している医者ばかりです。
たいてい節税対策で借金してクリニックつくるから本も宣伝も必要なんですよ」


標準治療でがんは治らない、といいきる医者がいるのは不思議なことではないですが、
代替治療(または自然療法)でがんが治る、と言い切る医者があまりに多いのは、私にはとても不思議に思えます。


だって治ってない人いっぱいいますから。
治った人はメディアにのる、治らず死んだ人はメディアにのらない。
それだけのことです。

治らなかった人は、高額な医療費を払いたくないから、当然受診をやめる。
受診をやめた人のその後を医者は追跡していないだけなのにもかかわらず、
「●●でがんが治る」と言い切り続ける。


「●●でがんが治る、と言う言葉じたいがいんちきの証明ですよ。
すべてのがんを網羅するたったひとつの治癒方法があるわけないでしょう」


と押川先生はいいますが、私も最近まで「がん」という名称がついているだけで
全部をひとからげに治してしまう方法ばかり目に入っていましたので、
そんなこといわれても・・・と思ったりしました。

がんをひとくくりにして、なんでも「治る」「治る」と連発する医師の代表例といえば
安保徹氏です。
がんの臨床経験はほとんどないのに、がんのスペシャリストであるかのように、
がんを治す独自の方法を何十冊という本と講演会で説きました。

2016年に亡くなられました。
新潟大学で「免疫」を研究していた安保氏が語っている免疫についての言葉を引用します。



安保 (自然療法と)二股かける人もいる。こっそり西洋医学の病院行って抗がん剤飲んだり、麻薬飲んだり。麻薬はね、すごい免疫抑制ですよ。絶対にいけない。

編集
 でも、医者からは痛みでストレスになるより、薬を使ったほうがいいといわれます。

安保  そこがみんなわかってない。(中略)がんとの戦いもね、血流をめいっぱい送って、それに伴う発熱、痛みは、出たら甘んじて受けるしかない。すると、熱が下がった後にね、サーッ!てガンが消えるんですよ。(中略)全身転移がある人だと、五~六回繰り返して治ります。

編集 えっ、痛みの後にガンが消えるんですか? 痛みはガンの進行の証拠だと思っていました。何が怖いって痛みの中で死ぬのが・・・・・・。

安保 痛み止めを使わなきゃそうはならないですよ。(中略)痛みがきたらむしろ「ありがとう!」「これで治る、やったー」てなもんですよ。(後略)

編集 痛いと何もやる気にならないし、気分も滅入りますしね。

安保 だからそれは副交感神経の反射で起こるんだから、リラックスの究極なわけ。横になって体を休めなさいということなんですよ。

編集 なんだか、目からうろこが。でも、とても納得できますね。

安保 (前略) がんが治ったという声をあっちこっちで聞くでしょう? もうガンは奇跡でもなんでもなく、当たり前に治る時代です

 
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

安保 四か条(生活パターンを見直す、がんの恐怖心から逃れる、三大医療を受けない、入浴や爪もみで副交感神経を活性させる)きちんとやるとね、リンパ球が二十%まで下がった人も、だいたい三ヶ月くらいで(中略)三十%くらいまでたどり着くと、ガンが縮小しだす

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
ガンの患者学研究所発行「いのちの田圃」(2002.10)より


自然療法の治癒例を集めた「いのちの田圃」のバックナンバーは読み物としてはたいそうおもしろく、
当ブログにそれを紹介したこともあります。
問題は、それをやっても私は治らなかったことです。


「今電話があったのは、大阪のお医者さんでね、大腸がんで肝転移。それが四か条やったら消えちゃったって」

と安保氏が語るような魔法は起こらなかった。


「メディアに出ているガンが自分のガンと同じケースということは、
99%ありませんから、あるガンがその方法で治ったからといって、
じぶんのガンに適用されるということは、まあほぼないです」


と押川先生は言いますので、治癒例の再現を夢見た私がものしらずだったのかもしれません。


安保氏のいう「四か条」は、いってみれば、多くのがん患者がやっているありふれたことですので、
私もたまたま安保氏の主張と重なっていることをしていました。
でも状況はよくなりませんでした。


自然療法だけを行いながら、苦痛の中で過ごす日々から解放されて、
今つくづく思うのは、
痛みを放置すればがんが治る、という主張を繰り返した安保氏の行いは犯罪的だということです。
もし、それを正しいと思っているなら、論文を書いて世界中の医師に教え拡げ、
より多くの人をがんの苦しみから救い出すことをなぜしなかったのか。
何十冊もの書籍を書く時間と全国を講演する時間があったんだからできたでしょうに。
これは近藤誠氏にもいえることですが。


ホスピス(緩和ケア病棟)に入院することで、
自然にがんが治ってしまったケースは、国内外で報告されています。

痛みから解放され、気持ちよく生活できるようになり、もう先はないと観念したのも精神的によい効果を与えたのでしょうか。

痛みがないという状態と、痛みに苦しむ状態が、どちらが人間的な状況か問うまでもありません。


標準治療、西洋医学は悪だと信じる人の駆け込み寺として、
自由診療のクリニックが機能していますが、そうしたクリニックの医師にも安保さんのシンパが多く、

「免疫を下げるからステロイドを使ってはいけない」
「麻薬系鎮痛剤を使うとリンパ球がすべて破壊される」

などと言う人がいるそうです。もちろんこれらに医学的根拠はありません。

状況がどんなに悪くなっても、免疫免疫といい続けて、入院させることはなく、
本当に患者が痛みにもだえ苦しみだした段階で、病院に放り投げる自由診療のクリニックがあるそう。
どんなに余命が厳しい段階になっても、一回30万円もする免疫治療を続けるクリニックも珍しくないらしいです。
詐欺という言葉では足りないことが行われていますが、患者と家族が安保さんの言葉を信じて
選んでいるのだから、誰も訴えることはできません。


「痛みは放置することで、治癒に向かう」

今もさまざまな場所で安保氏の言葉が、繰り返されています。
これらの言葉の発信者が病気であることはほぼなく、痛みの苦しみを知っているわけでもない。


「痛みがあるのをほっておくと、がんはどうなりますか」

押川先生に聞いてみました。

「ある日突然バクハツすることもあるかもしれませんね」


神経を圧迫するほどがんが大きくなっているという理由によって痛んでいるのかもしれないのに、
治癒反応だと信じて、お風呂に爪もみで治ると信じて、ただ寝ている。

あるいは

早く治療すれば、抗がん剤などが高い可能性で効くがん種でも、寝ているのが治療と信じて受診しない。


安保氏はすでになくなっており、
彼の言葉を信用しているブロガーたち、SNSの投稿者たちが
どんなに安保氏の意見を拡散しても、
それを信用して苦しみを増やした患者さんに責任をとる人はどこにもいません。


痛みをがまんして、寝ていればがんが消えると主張した安保徹氏。
がんは現代病ではなく、太古の昔からあった病気です
医学がここまで進み、痛みを緩和できるようになったのはこの十年ほどのこと。


医学の進歩が人を苦痛から救っています。


過去数百年、あるいは数万年で、
どれだけのヒト科生物が、がんの痛みに苦しみながら死んでいったか、
医学を学んだ彼でも知らなかったのでしょうか。


病気による痛みを我慢するしかすべがなかった長い長い暗黒の時代が終わり、
ようやくヒトは痛みをコントロールすることができるようになりました。
原始時代にとどまりたいならどうぞ、というしかありません。

免疫とつくだけで、なんとなく気持ちよくなってしまう日本人の「免疫好き」が、
高額でも、根拠が希薄でも、効果がなくても売れる「免疫ビジネス」の席巻につながっているのはあきらか。



また書きます。



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